そぼくな日記

にっき!

クレヨンしんちゃん謎メキ!花の天カス学園が想像以上によかった

先日、知り合いが謎メキ!花の天カス学園の感想を書いていたのに影響されて、ネトフリで試しに観てみたのだが、これが想像以上に良かった。感想が書きたいくらいには良かった。


感想の前に私のキショいオタク語りを挟もうと思う。



私はクレヨンしんちゃんに関しては老害と言っていいほど愛着がある。

小学生の頃はマンガを読み、毎週アニメを見て、友達も巻き込んでオリジナルのクレしんマンガを創作し、声マネを極め、カラオケではしんのすけの歌が十八番となり、将来はしんのすけの声優になるゾと思っていた強めのクレしんオタクだった。

当然映画も新しいのが出るたびに映画館で見ていた。
「オトナ帝国」や「アッパレ戦国」ドンピシャの世代だったので、私にとってのクレしん映画の基準はそこに設定されていた(今思えば歴代の中でも高すぎるレベル)

そのため、特に臼井儀人先生が亡くなられた後のクレしんはテンポが変わり、オカマが消え、私にとってはもはや全くの別物であり、受け入れがたいものとなっていた。

さらにしんのすけの声が変わるという話が出たとき、あの声を再現できる声優さんなんか存在するのか?という不安が押し寄せ、もしかして今こそ小学生の頃から鍛えた杵柄を発揮する時なのか?と本気で応募しようか悩んでAmazonボイスレコーダーをポチるなど血迷った行動に走った。
Twitterのリプライに同じ考えの人達が殺到し、しんのすけの声を披露してるのを見て我にかえった。



そこからパッタリとクレしんを見なくなり何年も経った。



しばらく経ったある日、オモコロの記事で歴代クレしん映画のレビューが書かれていた。
https://omocoro.jp/bros/kiji/218144/

「最近のは全然見てない」という人も多いのではないでしょうか。という言葉にドキっとした。


この記事を見たあと、観ず嫌いはいけない、最近のクレしん映画もなんだかんだで面白いんじゃないか?という期待が生まれた。

とりあえずこの記事の第10位にランクインしていた「オラの引っ越し物語」を観てみることにした。



正直に言うと、開始10分ほどでこの淡い期待は裏切られた。



もちろん、世間一般の目から観ればエンタメ展開に溢れた十分に面白い映画なのだと思う。
春日部のメンバーとの別れ、引っ越し先の思ってたのと違う感、悪役とのバトルなど。声もまだ変わる前だ。

しかし、新しいクレしんに慣れていない老害には、クリクラのCMの「よそゆき野原家」を延々と観させられているような居心地の悪さがあった。
テンションがどうしても昔と違うのだ。
半分ほど観たところで耐えきれずリタイアしてしまった。

やっぱり、思い出の中のクレしんを大事にした方が良いんじゃないか?老害は新しいものには馴染めないんだ…という挫折を抱え、暇潰しにクレしん映画でも観るかというテンションの日は昔の映画ばかり観ていた。

この挫折はそこそこ前の話だが、うっすら潜在意識に抱えたまま日々を過ごしていた。



そしてつい先日、知り合いがブログで2021年に公開された「謎メキ!花の天カス学園」について触れていた。
この映画はオモコロの記事でも2位にランクインしており、最近のクレしん映画の中では高評価という噂も耳にしていた。
そう思うと気にはなったのだが、以前の挫折感が邪魔をして積極的に観ようという気にはなれなかった。



だが、お昼ごはんのお供にアニメでも観ようと開いたネトフリに「天カス学園」があるではないか。

少し悩んで、えーい試しに観てみよう!とポチった。



しんのすけの声が違う…ひろしの声が違う…
でも寄せようとかなり頑張ってくれてるな。ぞーさんはさすがに無い代わりにすごいおしりがフューチャーされてるな。
序盤は以前のクレしんと比較してしまったものの、あれ?悪くないぞと徐々に没頭し始めた。
おしりがめっちゃ出てくる推理ものという題材も相まって「もしかしてこれっておしり探偵?」と思い始めた。



天カス学園ではしんのすけ以外のかすかべ防衛隊メンバーの「今までのクレしんでは見たことのない一面」と「そのキャラらしさの強調」がとても上手くバランスが取れていると思った。

いつもはぼーっとしつつ冷静沈着なボーちゃんが恋の影響で見たことない挙動をしていたり、マサオがたまに見せるヤンキーみたいな一面をさらに強調して本当にヤンキーの仲間になったり、ネネの空想癖が推理力へと昇華されたり。

そしてなんといっても風間の「エリート」が強調されることによって、物語の重要な展開が巻き起こるのは見事としか言いようがなかった。

クレしん老害の私にとっては「こんなのいつものクレしんじゃない!」という思考が新しいクレしんを拒む障壁となっていた。
だが、この映画では「このキャラってそうだよね」という面と意外な一面を一緒に提示することで「クレしんのキャラにも多面的な人間性が存在するんだよな」という大きな気付きを発生させた。



今まで私は自分の中に形成された「クレしんというテンプレート」ばかり観ていたのではないだろうか。



そこに気付いてからは一気に映画に没頭した。



歪んだエリート像に囚われてしまった風間と、風間を救いたいしんのすけ達の最後の競争で、勝ったのは風間だった。

「でもこの風間なら大丈夫だ」

終盤の僅かな時間の中で、そう思わせてくれた。
それと同時に、自分の中に住んでいたクレしん老害が消えていくのを感じた。