そぼくな日記

にっき!

ゲームボーイのカセットの味

最近ほとんど毎日変な夢を見る。

一昨日は登場人物が全員外国人でクローンという設定。話が進むにつれて自分自身がクローンであることが判明し絶望するというハリウッド映画みたいな内容。

 

今日は中学時代の友達のゲームボーイを食べてしまう夢だった。

正確にはゲームボーイのカセットだったかな。

全体的に紫色のカセット。

夢の中の私は友達のそのカセットを見てなぜだか「美味しそうだ」と思ってしまい、一口食べた。饅頭のようなぐにっという食感でいとも簡単に噛み切れてしまう。

口の中に紫芋のような甘みと、ほのかな機械くささと苦味が広がる。

決して100%美味しいとは言い難い味だった。機械の苦味もあるし。

ところがそのクセのある味に私は夢中になってしまった。

もう一口もう一口と食べ進め、半分ほど食べたところで「あっヤベっ」と思って無理やりゲーム機の中に差し込んで隠した。

とんでもない事をしでかした後のごまかし方が幼少期の頃と全く同じだ。

 

それを見つけた友達はあたりまえだけど号泣してめちゃくちゃ怒ってきた。そりゃそうだ大事なカセット食べられたんだもん。

私は全力で謝った。何の言い訳もできるわけがない。カセットを食べた私が悪いのだから。

友達は大声で絶交宣言をしてきた。素直に受け入れた。だって大事なカセット食べちゃうやつと友達を続行する人なんてこの世に存在しないから(いたらもっと自分を大事にしたほうがいい)

 

目が覚めた後も口の中になんとなくカセットの味が残っていた。

私は人生で一度もゲームボーイのカセットなど食べたことがない。それなのにこの味覚はどこからやってきたのだろう?

カセットの匂いを全力でスーハーしたことはある。

そこからこの味覚はやってきたのだろうか。

ポールプリンセスというのを知って色々思い出したこと

ポールプリンセスのツイートが流れてきて、色々と思ったので残したい。

 

ポールダンスの実体をあまり知らない私は、「ポールダンス」と聞くとストリップ劇場のパフォーマンスというイメージが浮かぶので、それを題材にしたコンテンツがかなり堂々と表に出てるのかーと驚いた。

後々調べてみると今では性的な側面を排除した、スポーツとしてのポールダンスがあると知った。

色々と調べているうちに、ふと去年見たストリップの公演を思い出した。

 

福井旅行の最中、ひょんなことからストリップ嬢の方に似顔絵を依頼されたので、まずはその人をちゃんと知ろうと思い公演を観に行った。

以前どこかでストリップはエロいだけでなく、演者の鍛えられた肉体がハンパないという話を見た事があったので、実際に見てみたいという気持ちもあった。

 

ストリップはもちろんちゃんと(?)性的な要素はあったのだが、それよりも予想以上に色々とすごくて、もはやエロいという気持ちは微塵も湧かなかった。

 

すごかったところ

•肉体が本当に綺麗。その方は50代だったが、引き締まりまくった肉体は20代にしか見えない。

•めっちゃ高いピンヒールで軽やかに歩くわ後ろにのけぞりブリッジするわどうなってんの?

•ただ脱いで踊るわけではなく、きちんと演出されている。徐々に衣服を脱いでいくのだが、私が最初に見た演目ではもはや脱ぎきった後の裸体が神々しかった。

•ストリップ嬢本人が、それぞれ自分の演目内容や演出まで全てこなしているらしい。すごい。アーティストやん。

 

※余談…上野でもその方が出張していたので観に行ったのだが、その時はファンもすごかった。

嬢の決めポーズの時に白いリボンをタイミングよく放ち、嬢を彩っていた。どうやら自主的にやっているそうだ。最初スタッフと勘違いした。

 

それで、ポールプリンセスの話に戻るのだが、ポールプリンセスで描かれるポールダンスは多分性的なものを排除したスポーツ的なポールダンスだと思う(観たことがないので断定できないが少なくとも全年齢向けなので)

軽く調べた時に、『私のポールダンスはストリップとは関係ない』と前置きしているダンサーもいるという話を見た。

しかし、実際に性的なものとして完全に裸体で踊るストリップ嬢を見たとき、今まで感じたことのない領域の人体への魅力を感じたのだ。

 

私は美大にいた頃、大学の方針で1、2年の頃はひたすら裸婦を描かされていたので芸術として裸体を捉えるという目線は少なからず持っているのだが、それとはまた大きく違うような気がした。

裸婦モデルさんは、あくまでモデルであり、決して性的な目で見られたいとも思っていないしこちらも敬意を払って接するのが前提である。あと基本動かない。

対してストリップ嬢は「性的な目で見られるのは当たり前」ではあるしそのように見られるように振る舞ってい部分は大いにある。

その前提があるからこそ、日常生活の制約から解き放たれた肉体の動きを見る事ができるのではないだろうか。

もしこの演目を見てから裸婦デッサンをしてたら人体というものに対する可能性やリスペクトは鰻登りだったしもっと良い裸婦デッサンになっただろうな〜と思った。

 

思ったことを上手くまとめられないが、もんにゃり思った事をまとめると「人体をエロい、エロくないで短絡的に分断するのは本当に勿体ない気がする」。

あと、『エロ』という感情には様々な種類や深みが存在してる気がしてならない。私がストリップに感じたのは『リスペクト•エロ』だ。

みなさん人生に一回くらいはストリップの公演を見に行った方がいい。

 

ちなみに描いた似顔絵はこちら。相田樹音さんという方。

苦肉の作り置き〜イーブイ〜

本題に入る前に宣伝を失礼します。

12月31日に冬コミで本を出します。最近始めた「いぎょの旅」のまとめ本や、18切符を使ったプチ旅行の本、計3冊を出します。

良ければぜひ読んでください。

 

〜〜〜〜本題〜〜〜〜〜

 

友人がシェアしてた「作り置きアドベントカレンダー」が気になったので初めて参加します。

これはつくりおき Advent Calendar 2023 23日目の記事です。

adventar.org

 

二人暮らしの自炊分担問題

私は彼氏と二人暮らしなのですが、これまで自炊や作り置きについて様々な試行錯誤がありました。

まず、私と彼氏では「食事」に関するスタンスが明確に違っています。

 

彼氏…食事に時間を取られたくない。もはや三食カロリーメイトでもいい。

私…食べるのが好き。同じ味のものばかり食べてると飽きてしまうので違う味を食べるために料理する。

 

料理に比重を置いているのは私の方ですが、毎回私が食事を作っているとさすがに大変なので、半々くらいで作る係を交代していました。

ところがある日、調理担当の彼氏が台所で涙を流していました。

 

「1時間経ってるのにぜんぜんご飯が完成しない…」

 

彼氏は調理そのものは問題ないものの、スピードという点で困難を抱えていました。

泣くほど嫌なことをさせるのも申し訳ないが、全部自分がやると仕事も家事も全部降りかかって発狂してしまう。

この地獄を脱するためにはどうすればいいか、うんうん考えて導き出した結論が「調理を肩代わりさせる機械を買う」でした。

 

機械にぶん投げよう

ちょうど友人がホットクックのことをツイートしていたのもいいきっかけでした。

amzn.to

 

税込よんまん…

TAKEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE

高すぎて一瞬で候補から外れました。

もっと安いのはないのか。ついでにホットクックは1品しか作れないので、複数作れるものはないかと欲張りな条件で探し続け、ついにとある調理器具にたどり着きました。

 

それがこちらの「ツインシェフ」です。

Amazon.co.jp : ショップジャパン ツインシェフ 自動調理鍋 300×210×410㎜ 同時調理 炊飯 玄米 炊き込み 雑炊 おかゆ 煮込み スープ 蒸し ケーキ ヨーグルト 自動メニュー10種 TWC-AM01 【正規品】 ホワイト : ホーム&キッチン

 

機能としてはホットクックより劣るのですが、値段がはるかに安かったのと、調理釜×2+蒸しカゴ×2=計4品が材料を突っ込んで待っているだけでできるという点に強く惹かれました。

実際に導入してみて、材料と水と調味料を入れれば待っているだけで完成する。なんて手軽なんだ!!!!と感動しました!

 

…と言いたいところですが、4品作ろうと意気込むあまりだんだん面倒になり、最初のやる気は失速してしまいました。

もっと根本的に、「作り置き」というイメージを考え直す方がいいのかもしれない。

その時、はるか昔にツイッターで見た「イーブイ」を思い出しました。

 

最後の砦「イーブイ

イーブイ」とは、カレーやシチューにルーを入れる前段階の、「どんな味にも進化できる状態」のアレです。

作り置きで作るのはあそこまでにして、食べる時は具や味付けを足して変化させよう。

あと上の蒸しカゴにはもう芋だけ入れよう。

こうして料理に対する思考を極限まで省いた作り置きが爆誕しました。

 

材料

・にんじん

・じゃがいも

・玉ねぎ

・水

・蒸しカゴ用のさつまいも(他の芋でも可)

以上。味変したいので出汁は入れません。

全てをセッティングして後は待つだけです。

ちなみに表示では40分と書いていますが、余熱の時間も必要なので実際にはもっと掛かります。

 

炊き上がったのがこちらです。

イーブイはこのまま大きい保存容器に入れます。

芋はバター、マヨネーズ、コショウを加えて潰してから、使い道のないパセリをかけてサラダの具にします。

 

 

イーブイから生まれる様々な料理

料理するのが嫌で泣いていた彼氏も、イーブイなら作れるぞ!と担当のたびにイーブイを作ってくれました。

ところが、毎回そこからカレーかシチューを作るのでだんだんと飽きてきてしまいました(彼氏は一生カロリーメイトでも平気なので大丈夫)

なんとか飽きを凌ぐために工夫を凝らし、苦肉の策で色々とアレンジを生み出しました。

 

◼️なんちゃってリボリータ

材料

イーブイ

・ミックスビーン

・ベーコン

・にんにく

コンソメ

・死にかけのパン(あれば)

・粉チーズ

 

作り方

・にんにくをみじん切り(チューブでもOK)オリーブオイルを入れたフライパンにインして薄く色がつくまで炒める。ベーコンをインしてさらに炒める。

イーブイ、ミックスビーンズ、コンソメを入れて煮込む。

・死にかけのパンがあれば細かくちぎって入れてさらに煮込む。

・味をみて足りなければ塩胡椒を入れる。

・粉チーズを入れて出来上がり。

 

◼️味噌汁(じゃがいもの味噌汁がOKな人)

材料

イーブイ

・豆腐

・ねぎ

・和風だし

・味噌

・焼き海苔(お好みで。入れると磯の感じがプラスされて心なしか美味い)

 

作り方

イーブイと出汁を鍋に入れて火にかける。沸騰したら豆腐、ねぎ、焼き海苔を入れて火が通るまで煮込む。

・火を止めて味噌を入れる。

 

◼️ミネストローネなのかポトフなのか

 

材料

イーブイ

・ソーセージ

コンソメ

・トマト缶もしくは生トマト

・ニンニク

・買ったはいいが使い道のない香草(バジルとかオレガノとか)

 

作り方

・オリーブオイルの中に適当に切ったニンニク(チューブ可)を入れて火にかける。きつね色になったらトマト、塩小さじ4分の1を入れ少し煮詰める。

イーブイを注ぎ入れ、沸騰したら中〜弱火で10分くらい煮込む。

・適当な香草をモサモサ入れる。

・ソーセージを入れて3分温める。

 

補足

イーブイは出汁を入れていないので、具材へあまり味が染み込んでいません。なので、出汁や調味料を入れた後「染み込め〜染み込め〜」と念じながら10分程度煮込んでください。

 

イーブイをカレーにする場合、オススメのカレールーは、カルディに売ってるこちらのカレールーと

www.kaldi.co.jp

その辺のスーパーでも売ってるこちらのルーです。

www.ebarafoods.com

家カレーというジャンルの中ではリッチな味がするなぁと思います。

 

・私は諦めてしまいましたが、この方はめちゃくちゃツインシェフを使いこなしています。

youtu.be

 

おわりに

様々な試行錯誤の末、この「イーブイ」に辿り着きましたが、毎回やってるわけではなく、飽きて普通に料理してる事もあります。

ですが、完全に持て余してるわけでもなく、たまに「今日はいっぱい作り置きするぞ〜」という時に自動調理をしてる時間で他の作り置きもできるなど、マンパワーが増したという実感はあります。

 

他にも「イーブイ」の良い進化系があれば教えてほしいです〜!

 

 

自分の作品が好きとか考えた事なかったけど変わりつつある

最近、自分が作った後の作品に興味が湧くようになってきた。

なんでかなっていうちょっとした分析のような、備忘録のようなもの。

 

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私はここ最近ちゃんとした絵を描いてないが、一応絵描きの端くれである。

だいたいこんな感じの絵を描いてきた。

 

アナログで一枚の絵にそこそこ時間を掛けて描いていた(すぐに集中力が切れるのでクオリティの割にやたら時間がかかる)

 

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むかしむかし、美大2年生くらいの頃だったか、後輩が「自分の作品が好き」と情熱的に話していた事がある。

それを聞いてなんかめっちゃ衝撃を受けた。

自分の作品に対して好きとかどうとか考えた事がなかったのだ。

多分一切の興味がないわけではなかったと思うのだ。題材にするテーマやモチーフに対しての愛着はあるし、制作している途中は没頭している。

 

ところが、なぜか完成後の自分の作品に対してどう接していいのかずっと分からなかった。久しぶりに親戚の子供にあったらめっちゃデカくなってて、何の話をしていいかわからない時みたいな(経験した事ないけど)そういう類に似た「扱いに困る」気持ちを感じていた。

そのせいか、作品数が溜まっていっても「この作品をこう見せたい」みたいな事を思わず、グループ展しかしてこなかった。

 

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それからなんやかんやあって大学3年生の終わり頃から修羅みたいな人生になり、先ほどのような絵が1ミリも描けなくなり、別人のようなものばかり作っていた↓

 

メンタルがヤバくて大学院を中退した後、とりあえず働いたところがブラックで踏んだり蹴ったりな状態になった。その時人生のだるさをぶつけた「だるいちゃん」というキャラクターが生まれたりした↓

 

↓修羅の時におっしりーとかいうキャラクターも生まれた

 

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全てが落ち着いた現在、不思議なことになんとなく自分の作るものが好きになってきた。自分の気持ちの変化に自分自身が一番驚いている。

なぜこんな変化が生じたのか理由を考えた時に、自己受容が関係しているような気がした。

これまでは、自分が作品を作る原動力はどちらかというと「負の感情」がきっかけだった。二次創作でない自分の作品を本格的に作り出した時は、中学時代のイジメの傷を癒したいという気持ちが隠れていた。

高校でも、大学でも、ままならない人生の壁に直面し続け、その度にこなくそと思う気持ちを作品にぶつけ、その結果なんか作品ができて、なぜかそれが売れたり賞とったりした。

 

でもそれって、ストレス発散に枕でボクシングをしていたらボクシングのプロに「筋がいいね!プロを目指さないか?」って言われちゃったようなもんだ。

自分を「ストレス発散の枕叩きボクサー」ではなく、「丁寧に枕を作る枕職人」だと勘違いしていたから上手くいかなかったのかもしれない。

丁寧に継続的に人にものを届ける事と暴の気持ちは相性が悪い。

 

ボクサーの自覚をして以降、枕ではなく問題の根源に直接ジャブし続けた。その結果、問題は爆発四散し、雨は上がり虹はかかるわ人生はバラ色。

頑張った自分を認められて自己受容できるようになり、「負の感情」ではなく「正の感情」で作品を生み出す事ができるようになった。

 

ようやく自分の生み出すものがポジティブに受け入れられるようになったので、今度こそ「丁寧に枕をつくる枕職人」として作品を生み出していきたい。

 

twitter.com

 

枕職人としての処女作「いぎょの旅」をどうぞよろしくお願いします。

苦肉のレシピ〜賞味期限切れの納豆と残り物豚キムチのチヂミ〜

先日苦肉の策で作った納豆と豚キムチのチヂミが美味しかったので記録。

 

買い物に行くと必ずといっていいほど納豆を買うのだが、納豆の賞味期限が意外と早く、気がついたら切れている事が多々ある。

つい先日も1パックも消費しないまま賞味期限を迎えてしまった。

苦肉の作で大量消費レシピを色々と見たところ、チヂミがいい選択肢だと思えた。

 

冷蔵庫の中には大量に作ったものの食べ切れず残ってしまった豚キムチも鎮座していた。納豆とキムチは確実に相性がいいので、この際合体させることにした。

 

レシピメモ

 

チヂミの生地

・小麦粉 80グラム

・片栗粉 20グラム

・120ccくらい(生地の固さをみて調節)

・鶏がらスープ 小さじ2くらい

※小麦粉多め、片栗粉少なめ、生地はゆるめを意識すれば目分量でも結構いける。

 

豚キムチ

・豚肉

・茄子

・刻み海苔

を適当に炒めたものです。醤油をひとたらしした。

 

・納豆 余った分全部

 

チヂミの生地を作ったら豚キムチと軽くかき混ぜた納豆を加えてぐるぐるかき混ぜる。

ごま油を引いたフライパンにおたま一杯分程度の生地を入れる。

焼き目が付いたらひっくり返す。

お好み焼きと違ってふわふわさせる必要が無いので上からぎゅっと押しながら焼いた。

どこかでチヂミは鉄板に押し付けながら焼くといいと聞いたような気がする(気のせいかも)

 

チヂミのたれ

・納豆に付いてたタレ。からしは好みで加えても加えなくてもよい。

 

いつも買っている納豆が「おかめ納豆まろやか昆布つゆ」というやつなのだが

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このタレがそもそも美味いのもあってチヂミにめちゃくちゃ合う。

わざわざタレを作らなくていいのですごく良かった。

惜しむらくは納豆用なので量が少ないところ…

辛さが欲しい人はコチュジャンなんかを加えてもこのタレには合いそうだし多分美味しい。

 

納豆を食べすぎると腸内細菌が死滅するとか聞いたので食べ過ぎ注意かもしれませんが、チヂミは冷凍もできるので、消費しきれなかった納豆を救済したい方は気軽に作って冷凍するといいと思います。

ビッグすぎるプロが好き勝手暴れまくる「ジャズ」を聞いた感想

初めて生演奏のジャズを聞いてからだいぶ経ち、ブルージャイアントの第1章も読み終わったので再びジャズライブに行った。

 

ジャズ好きの知り合いに「そろそろ行こ〜や」と言ったらノリノリで色んなライブを探してくれて、その中でも「高いけど確実にいい」とお墨付きだった演目を聞きに行くことにした。

↓こちら

pit-inn.com

 

私は音楽の知識が全く無いのだが、メンバーは全員めちゃくちゃ大御所らしい。

なんかタモリと普通にぺちゃくちゃ喋ってるようなビッグな人達だと聞いた。タモリと!?!?ビッグすぎる!?!?

 

前回どぶろくのようなジャズを聞いた私は免疫が付いていた。

しっとりしてるだけがジャズじゃないって事をもう知ってる。どんな音でもかかってこいや!!!

 

大御所揃いだからか、前回よりもさらに観客が多い印象だった。

年齢層も少し高いような気がした。ドンピシャ世代が来てるのだろうか。

 

舞台に登場したメンバーはあんまりにも一人一人キャラがバラバラで笑ってしまった。

・スキンヘッドのいかついおっちゃん

・さっきまで中華料理屋の料理長してたんかって見た目のドラム

・ヒャッハーって言いそうな刺青の入ったドラム

・髪の毛が長すぎるヒッピーみたいなベース

・1番普通のおっちゃんなピアノ

このメンバーが同じクラスだったら多分一言も会話をしないまま卒業してると思う。

 

さあ、ノーマルジャズか?どぶろくジャズか?どっちなんだい!

覚悟を決めて耳を傾けた...

 

 

これは...どぶろくジャズだーーーーーー!!!!いや、どぶろくを...超えている...!?!?!?

 

前回のどぶろくジャズより明らかにめちゃくちゃ。なんかもう全員好き勝手音を鳴らしている。

 

サックスブリッブリ ブリュリュリャバリブリュィ〜

                                                                                               ピアノビャルンビャルンポリョリョンチン

               ドラムバカ!!スカ!!バカ!!スカ!!                 

                                                  ベーーーーースバインバインベインボインブンドゥドゥドゥン

 

                                        

好き勝手すぎる。一体どこで乗ったら良いのか、どの音を掴んだら良いのか分からない。

私の中のブルージャイアント三人衆が「なんだべこの曲わっかんね〜!」と困惑している。

ただただ困惑しながらも何かを掴もうともがきながら聞いていると、だんだんそれぞれのパートの音が耳に入ってくるようになった。

 

あ、ドラムはドラム同士目配せし合ってるな。ドラム同士で遊んでんじゃねーか!!

ていうか料理人みたいなおっちゃんドラム捌きスゴすぎだろプロすぎるだろ。

サックスはもう何かわからんけど、このブリュブリュは前回進研ゼミでやったやつだ。

コントラバスってそんなめちゃくちゃに弾いていい楽器だっけ?

ピアノは前回と同じ人らしいけどやっぱり戦犯!!リードできる楽器でありながらめちゃくちゃやってくる!!戦犯!!!

 

そしてしばらく聞いていると、メンバー同士での「絡み」が発生し、ほんの少しの秩序が生まれてきた。

絡んでは解け、絡ませたと思ったらぶち壊し、いつまでも完成しない砂のお城のようだ。

 

だが、不思議なのだ。こんなに混沌とした音楽なのに、だんだん体が動いてくるのだ。

一体自分がどの音で乗っているのかも分からない。

分からないのにまんまと「乗らされて」しまった。

 

1曲目が終わり、振り落とされまいともがいた結果、もう心の中は汗びっしょりだ。

何かわからんけどアツい。少年漫画のバトルのようなアツさがそこにはあった。

だが1曲目からこんなに飛ばしといて2曲目からどうすんだ?

 

そう思っていたらサックスのおっちゃんがマイクを手におもむろに語り出した。

マジかよ語りもアリなのかよ。だが、マイクは音量調節が上手くいってないのかハウリングしていた。

すると

 

「「「「「「「「「ハウってる」」」」」」」」」(ウイスパーデスボイス)

 

アドリブだーーーーーーー!!!!ハウってることも生かすプロ根性だーーーーーー!!!!

 

曲は相変わらず好き勝手しているのだが、手を替え品を替え見たことない物を見せ付けてくる。そして、時折「明らかにカッコイイアンサンブル」もかましてくるのだ。

本当にニクい。

 

「そろそろさぁムーディーなやつやろうよ」

一応決まっていた条件なのか、そういう提案をメンバーが出した。

今まで弦を指で弾くような演奏をしていたコントラバスが弓に切りかえた途端、空気は一変し、一気にしっとりジャズに変化したのだ。

ほかのメンバーの演奏もそれに合わせるかのように一気に大人しい演奏になっていく。

だが、そのムーディーさもつかの間、サックスが我慢できなくなったのかブリュリュリャバリブリュィと音を鳴らしだし20秒くらいで元の混沌へ戻ってしまった。

 

その後も基本は混沌なのだが、耳が慣れてきたのか、演奏の意図のおかげなのか、気持ちのいいリズムやアンサンブルが曲の要所要所に現れてくるようになった。

私の揺れももはや最初とは比べ物にならないくらい大きくなっていた。アンコールも全力で、私の揺れも全力で、膝の関節が痛むほどだった。

 

終わったあとはジャズのライブを聞いたとは思えない疲労感と、アツい戦いを見た後のような高揚感が残った。

 

 

今回のジャズで「ジャズの楽しみ方」という物が少し分かったような気がする。

「どの音を聴くかは自分で選ぶ」「好きなタイミングで好きな音やリズムに乗ればいい」「部分を聴いたり全体を聴いたり視焦点を変えながら聴く」

絵画鑑賞に近い意識で聴くとかなり楽しめる事が分かった。

 

昨今、AIが自分の聞いた音楽を元に勝手に好きそうな音楽を提示してくれるような世の中になったが、これはそのアンチテーゼとも言えるのではないだろうか。

与えられるものだけを受動的に消費する世界に飽き飽きしている人は、一度前衛ジャズを聴いてみてはいかがだろう。

きっと新しい扉の前に立てるはずだ。

 

 

と思いました〜

年をとるのは罰じゃない

最近母が第2の人生をスタートし始めた。

今の仕事で定年を迎えるまだちょっと時間はあるのだが、以前からなりたかった木工職人に向けて木工技能士1級の資格を取り、1作目がいきなり市長賞を取ったり2作目も何かの1番上の賞を取ったりとめちゃくちゃすごい勢いでスタートダッシュを決めている。

だいぶ昔、たしか私が美術高校を受ける時に実は家具を作りたかったという話を聞いていたので、大長編の伏線が回収されたような気分だ。

 

娘の私はというと、正直母より先に気持ちが老後になってしまっている。自分でも早すぎると思う。

高校、大学と美術系に進み、絵の活動もそこそこやっていたし、ちゃんとしたお値段で買っていただけたりもしていたのだが、大学3年の時にサイコホラー小説みたいな展開(芥川龍之介だか直木賞だかに送りたいくらい)に巻き込まれ、最近ようやくその敵をなぎ倒したので、縁側で永遠にお茶を啜ってたいくらい疲れてしまったのだ。

 

別にサイコホラー小説みたいな人生だったからちょっとくらい休んでもいいだろという気持ちと、でもそろそろ三十路の扉が見えてきた焦りと混ぜこぜになっていた。

イッタランドなどを見ていると人生終わりだ〜ってなってる30代もよく見かけるし、20代のうちに階段を登るようにキャリアを積めなかった者は人生終了みたいな「終わりワールド」が広がっているので、ジェンガが倒れ続けている自分はもうどうにもならないのだろうかと不安になった。

 

けれどそんな時に第2の人生をスタートさせた母を見ていると、そういう不安が全部光属性のパワーみたいなもんで消し飛んでいった。

あれ?案外年をとってもどうにかなるのかも。

 

思えば私の親族(女性陣)はとてもしぶとい。

母方のおばあちゃんは、姑との同居、おじいちゃんの借金など、おばあちゃんになるまで(なってからもしばらく)かなり苦労していたが、80代の今となっては足腰強靭で友人とカラオケに行ったり人生をエンジョイしている。

父方のおばあちゃんは体が弱い方だが、生きるパワーが強く何度も死の淵から蘇り、目があまり見えないのに編み物をして服を作っている(見えてないとは思えないくらい出来がいい)。

従姉妹の母は人工透析をしなければならない病気を抱えつつも、美味しいアップルパイを焼いてお店に卸している。

 

そういった、私より年上で、結構重めの困難を抱えながらも今こうして生き生きとしている親戚の姿を見ると、年を取るって怖くないのかもしれないと思える。

 

自分自身、以前より年をとった事で利点も感じている。

昔のいや〜な記憶がめちゃくちゃ薄れているのだ。

以前は匂いすら記憶していたので、雨っぽい匂いなどを嗅ぐと具体的な嫌なシーンが思い浮かんだりしていたが、今は全部忘れた。

そして、忘れたことによりまた楽しめるようになってきたのだ。

 

また、文章を書くという行為が以前より苦ではなくなった。

文章を組み立てるのは脳にかなり負荷が掛かるので、嫌な記憶が薄れた今ではその作業も出来るようになったのかもしれない。

趣味でこうやってブログを書く気になれるほど回復した。

 

これからも年を取るたびに私は色々なことを忘れていくだろう。

忘れたあとの空白に、次は何を飾ろうか。少し楽しみになってきた。