そぼくな日記

にっき!

ビッグすぎるプロが好き勝手暴れまくる「ジャズ」を聞いた感想

初めて生演奏のジャズを聞いてからだいぶ経ち、ブルージャイアントの第1章も読み終わったので再びジャズライブに行った。

 

ジャズ好きの知り合いに「そろそろ行こ〜や」と言ったらノリノリで色んなライブを探してくれて、その中でも「高いけど確実にいい」とお墨付きだった演目を聞きに行くことにした。

↓こちら

pit-inn.com

 

私は音楽の知識が全く無いのだが、メンバーは全員めちゃくちゃ大御所らしい。

なんかタモリと普通にぺちゃくちゃ喋ってるようなビッグな人達だと聞いた。タモリと!?!?ビッグすぎる!?!?

 

前回どぶろくのようなジャズを聞いた私は免疫が付いていた。

しっとりしてるだけがジャズじゃないって事をもう知ってる。どんな音でもかかってこいや!!!

 

大御所揃いだからか、前回よりもさらに観客が多い印象だった。

年齢層も少し高いような気がした。ドンピシャ世代が来てるのだろうか。

 

舞台に登場したメンバーはあんまりにも一人一人キャラがバラバラで笑ってしまった。

・スキンヘッドのいかついおっちゃん

・さっきまで中華料理屋の料理長してたんかって見た目のドラム

・ヒャッハーって言いそうな刺青の入ったドラム

・髪の毛が長すぎるヒッピーみたいなベース

・1番普通のおっちゃんなピアノ

このメンバーが同じクラスだったら多分一言も会話をしないまま卒業してると思う。

 

さあ、ノーマルジャズか?どぶろくジャズか?どっちなんだい!

覚悟を決めて耳を傾けた...

 

 

これは...どぶろくジャズだーーーーーー!!!!いや、どぶろくを...超えている...!?!?!?

 

前回のどぶろくジャズより明らかにめちゃくちゃ。なんかもう全員好き勝手音を鳴らしている。

 

サックスブリッブリ ブリュリュリャバリブリュィ〜

                                                                                               ピアノビャルンビャルンポリョリョンチン

               ドラムバカ!!スカ!!バカ!!スカ!!                 

                                                  ベーーーーースバインバインベインボインブンドゥドゥドゥン

 

                                        

好き勝手すぎる。一体どこで乗ったら良いのか、どの音を掴んだら良いのか分からない。

私の中のブルージャイアント三人衆が「なんだべこの曲わっかんね〜!」と困惑している。

ただただ困惑しながらも何かを掴もうともがきながら聞いていると、だんだんそれぞれのパートの音が耳に入ってくるようになった。

 

あ、ドラムはドラム同士目配せし合ってるな。ドラム同士で遊んでんじゃねーか!!

ていうか料理人みたいなおっちゃんドラム捌きスゴすぎだろプロすぎるだろ。

サックスはもう何かわからんけど、このブリュブリュは前回進研ゼミでやったやつだ。

コントラバスってそんなめちゃくちゃに弾いていい楽器だっけ?

ピアノは前回と同じ人らしいけどやっぱり戦犯!!リードできる楽器でありながらめちゃくちゃやってくる!!戦犯!!!

 

そしてしばらく聞いていると、メンバー同士での「絡み」が発生し、ほんの少しの秩序が生まれてきた。

絡んでは解け、絡ませたと思ったらぶち壊し、いつまでも完成しない砂のお城のようだ。

 

だが、不思議なのだ。こんなに混沌とした音楽なのに、だんだん体が動いてくるのだ。

一体自分がどの音で乗っているのかも分からない。

分からないのにまんまと「乗らされて」しまった。

 

1曲目が終わり、振り落とされまいともがいた結果、もう心の中は汗びっしょりだ。

何かわからんけどアツい。少年漫画のバトルのようなアツさがそこにはあった。

だが1曲目からこんなに飛ばしといて2曲目からどうすんだ?

 

そう思っていたらサックスのおっちゃんがマイクを手におもむろに語り出した。

マジかよ語りもアリなのかよ。だが、マイクは音量調節が上手くいってないのかハウリングしていた。

すると

 

「「「「「「「「「ハウってる」」」」」」」」」(ウイスパーデスボイス)

 

アドリブだーーーーーーー!!!!ハウってることも生かすプロ根性だーーーーーー!!!!

 

曲は相変わらず好き勝手しているのだが、手を替え品を替え見たことない物を見せ付けてくる。そして、時折「明らかにカッコイイアンサンブル」もかましてくるのだ。

本当にニクい。

 

「そろそろさぁムーディーなやつやろうよ」

一応決まっていた条件なのか、そういう提案をメンバーが出した。

今まで弦を指で弾くような演奏をしていたコントラバスが弓に切りかえた途端、空気は一変し、一気にしっとりジャズに変化したのだ。

ほかのメンバーの演奏もそれに合わせるかのように一気に大人しい演奏になっていく。

だが、そのムーディーさもつかの間、サックスが我慢できなくなったのかブリュリュリャバリブリュィと音を鳴らしだし20秒くらいで元の混沌へ戻ってしまった。

 

その後も基本は混沌なのだが、耳が慣れてきたのか、演奏の意図のおかげなのか、気持ちのいいリズムやアンサンブルが曲の要所要所に現れてくるようになった。

私の揺れももはや最初とは比べ物にならないくらい大きくなっていた。アンコールも全力で、私の揺れも全力で、膝の関節が痛むほどだった。

 

終わったあとはジャズのライブを聞いたとは思えない疲労感と、アツい戦いを見た後のような高揚感が残った。

 

 

今回のジャズで「ジャズの楽しみ方」という物が少し分かったような気がする。

「どの音を聴くかは自分で選ぶ」「好きなタイミングで好きな音やリズムに乗ればいい」「部分を聴いたり全体を聴いたり視焦点を変えながら聴く」

絵画鑑賞に近い意識で聴くとかなり楽しめる事が分かった。

 

昨今、AIが自分の聞いた音楽を元に勝手に好きそうな音楽を提示してくれるような世の中になったが、これはそのアンチテーゼとも言えるのではないだろうか。

与えられるものだけを受動的に消費する世界に飽き飽きしている人は、一度前衛ジャズを聴いてみてはいかがだろう。

きっと新しい扉の前に立てるはずだ。

 

 

と思いました〜