私は小学生の頃から食い意地が張っていた。
社会の時間に資料集を眺めては各時代のご飯がどんな味なのか妄想しては授業を聞き逃していた。
その中でも縄文時代の「縄文クッキー」が特に気になっていた。
諸説あるがどんぐりを使ったクッキーが食べたかった。
食べたかったけど20年くらいなーんもしなかった。
時折人生の中でふと縄文クッキーの走馬灯が流れ、食べたいなぁ〜と思っては消えていく日々を繰り返していた。
で、何故かわからないけど最近縄文時代への熱が高まってきて、今度こそ作ってみるぞーと意気込みが湧いてきた。
ここを逃すとまた20年は作らないと思うので作っちまおう。
本当はその辺のどんぐりを拾って粉にしたいのだが今は真夏だ。
今年の夏はなんかいつもより最悪で、草木も枯れんばかりの猛暑と温めすぎたから冷やしてやろうと言わんばかりの豪雨が交互にやってくるアホみたいな天気だ。
こんなアホみたいな天気なのにどんぐりなんてあるわけねー。
ということでネットで調べた結果、韓国食材でどんぐり粉があると突き止めた。
新大久保あたりにあるらしい。
多分これだ
表紙の食べ物…何?
袋を開けてみた。
匂いは片栗粉に非常に近いというか片栗粉としか思えない匂いがする。
調べてみたらこのどんぐり粉は単にどんぐりを粉にしたというわけではなく、どんぐりの澱粉を抽出(?)したものらしい。
ということはほぼ片栗粉ってことなの〜?
不安しかないけどこちらのレシピを参考に作っていく。
どんぐりクッキーは色々な作り方があるらしく、肉も加えたハンバーグのようなものもあるそうだが、今回は初めてなのでオーソドックスにお菓子のクッキーを想定したレシピをチョイスした。
小麦粉、どんぐり粉、ベーキングパウダーをふるって混ぜた。
どんぐり粉はうっすーい木の色をしている。
別のボウルで塩、砂糖、水、オリーブオイルを混ぜた液を作る
不安な見た目の液体ができたが、そこへ先ほどの粉を投入してヘラでさっくり混ぜるらしい
土。
土ができた。
混ぜても混ぜてもモソモソしていて本当にクッキーになるのか一抹の不安がよぎった。
しかもサックリ混ぜるって書いてあったのに全然混ざらん。
でも、粉が残ってるのが1番いけないと思い、もうサックリとかいうレベルじゃないくらい混ぜまくっった。
これを棒状にするらしい
オイ!!!!
オイオイオイオイオイオイ!!!!!!!
違うんです違うんです
匂いは片栗粉だから匂いは片栗粉だから!!!!!!!
泣きたい気持ちになったがここじゃらさらに綿棒で伸ばさなくてはならない。
車に踏まれたやつじゃん
もうダメだ。形状を変えても弁解の余地がない。
弁解をひらがなにするなよ。
ラップで包んでこいつを1時間冷蔵庫に寝かせた。
どうにかなってくれる気がまるでしないのだが、お腹が空いたのであいだの時間で晩御飯を作って食べた。
晩御飯はふよふよになったズッキーニを具にしたカルボナーラもどきだ。
クッキーの行方が不安であまり味がしなかった。
1時間後、車に踏まれたアレみたいなやつを取り出して、5ミリ幅くらいに切った。
オーブンがないのでフライパンで焼いていく。
本当に…クッキーになるのか…?
不安を抱えながら表裏5分ずつ焼いた。
そして完成したのがこれだ
クッキー…かもしれない?
焼きたてを食べてみた
「あったかい片栗粉だ!!!!!!」
匂いがまず片栗粉。片栗粉を直接モソモソ食ったことはないが、多分食べたらこんな味するんだろうなーって予想した時の味。
ええ〜マジかよ…とガッカリしたが、焼き菓子は焼き立てと冷めた後で味が違うと記憶にあったので冷ましてみた。
冷めた後もう一度食べてみた。
うん。不思議だけど片栗粉っぽい匂いが消えた。
普通にクッキーの味がする。硬さもザクザクで悪くないんだけど…
正直どんぐりどこにおるん??
かなり普通のクッキーの味だったので拍子抜けしてしまった。
恐らく今回使った「どんぐりムック粉」はどんぐり寒天という食べ物の材料らしいので、固めるための澱粉成分がメインなのだろう。
小麦粉も結構入れたので余計にどんぐりの味が薄まったのかもしれない。
さすがにこれがベストではないだろう。
うーん、これは秋にどんぐりを拾いまくってリベンジするしかない。
マテバジイっていうどんぐりがウメーと聞いてるので、どんぐりが落ち始めるまであと2、3ヶ月引き続きどんぐりクッキーのイメトレを続けたいと思う。